会社(法人)の債務整理 まとめて全部解説します!

会社の「倒産」と「破産」はどう違うの?

会社(法人)の業務が経済的・金銭的に立ち行かなくなり、返済が不可能になった際の会社には多くの状況が考えられますが、それを大枠に収めた表現が【倒産】であり、倒産の中でも会社が裁判所に破産管財人を立てたうえで申し立てを行い、認められるとこれが【破産】ということになります。破産は会社の法的な整理の中の1つであり、再建ではなく清算を目的とするものが「破産手続」ということができます。

会社は「清算」してしまえば消滅して消えてしまいますが、そうではなく「再建」を目指して裁判所を通じて救済を求め、法的にその債務を整理すれば今まで通り経営を続けていくことも可能な場合もあり、この場合は「倒産」の中でも前向きな「再建型」の倒産ということができます。

会社が不幸にして倒産(状態)になり、経営が困難になった際に経営者が選択できる手段として、以下に解説しております、裁判所を通して行う【法的整理】と、裁判所を介さず弁護士等に依頼して文字通り任意の話し合いで整理を目指す【任意整理】があります。ここでは主に【法的整理】について解説していきます。

会社の債務整理にはどんな種類があるのか

会社の債務整理に関しましては、分け方によっていろいろな分類が可能ではありますが、大きく分けますと以下の4つがあります。

①特定調停
②民事再生
③会社更生
④特別清算・ 破産

それぞれについて詳しく解説していきます。

会社の特定調停

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法的整理の中でもこの「会社の特定調停」は一番穏やかな整理方法ということができ、裁判所の関与の中で主に当事者同士の話し合いによって解決の落としどころを模索していく方法です。

この特定調停が導入されたのは今から15年程度前(西暦2000年)からとなっていますので、結構新しい部類の会社の債務整理となります。

特定調停が任理整理等と異なる点は、間に立つ者が弁護士や司法書士などの個人ではなく【裁判所】であるという点です。

この中立の立場からの公平な裁判所の意見(もちろん完璧な法律的な背景を持ったうえで、今後調停が不調のまま終わってしまった場合、どういう流れになっていくかも見据えたうえでの意見)を双方が聞いたうえでの協議ということになり、単に法律家等の第三者が会社の調整役として立てられた状況の中で進む場合とはかなり意見の重みが違ってきます。

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また、話し合いの場ではどうしても債権者の発言や意見が立場上債務者よりも強く響いてしまいがちな状況になりますが、それを裁判所がまとめながら両者を誘導してくれるため、債権者の譲歩も双方だけの話し合いの場合よりも多く引き出されやすいと言えます。

また、会社の特定調停は裁判所を介して申し立てるため、それなりのメリットが存在します。

まず1つは取引先等には今後の会社の再建のために一切あるいは極力迷惑をかけないようにし、金融機関等のみなど特定の債権者に絞って調停を申し立てることができるために、会社の取引関係に大きな支障をきたすことなく、また債務整理をしていることも他の関係者に知られることもなく、債務のみを大幅に減らしたうえでの再建も可能です。

債権者との調停案が合意に達した際にはこの調停案をもとに裁判所によって調停調書という文書が正式に作成されますが、この内容には法的な効力・拘束力がしっかり付加されますので、書かれている債務をしっかりと守っている限りにおいては一安心です。しかし、調停調書の内容を守れないような場合は逆にピンチとなってしまい、最悪その後の給料差押え等に発展しても何らおかしくはありませんので十分な注意が必要になります。

会社の特定調停のメリット2つ目は今後の事業の継続に不可欠な不動産や機器等の担保を債権者に強制的に競売にかけられたり処分されたりしないように、それらの行為の手続きを裁判所の権限によって停止させることが可能ということがあります。

逆に会社の特定調停についてのデメリットとしましては、会社の任意整理と違い裁判所に申し立てを行う必要があるために、それに必要な書類を前もって準備しなければならず、またその手続きが完了後にようやく債権者に向けて裁判所から通知が行き、取り立てや催促が止むことになるので、弁護士等が受任後直ちに受任通知を送付することによってピタッと取り立てがなくなる任意整理とはスピード感が全く違って“遅い”ということが言えます。

さらに、会社の特定調停は裁判所を仲介役としてことが進みますが、交渉のほぼ全ては申し立てた本人が個別に行わなければならないため非常に時間と手間がかかり、その間仕事に手がつかなくなってしまうということもありえます。この意味では、自分でこのような交渉に臨むのは無理だ、難しい、心配で生きた心地がしないといったタイプの方であればすべてを弁護士・司法書士に一任し、まかせっきりにできる会社の任意整理がおすすめだといえます。

会社の民事再生

この「会社(法人)の民事再生」も、会社の特定調停が導入されたのと同じ時期(西暦2000年)に施行された新しい法律によって可能になった債務整理の急先鋒的な存在です。

この「民事再生」は、後に続く「会社更生」とよく比較される会社の再建型債務整理の方法ですが、最近では会社の債務整理の多くが民事再生によって解決されるようになってきました。

なぜこの「会社(法人)の民事再生」が旧知の「会社更生」にとってかわられたかというと、民事再生には会社更生にはない魅力的な次のようなメリットがあるからです。

会社の民事再生のメリット

 メリットその①
「会社更生」は経営者が経営責任を取らされて総退陣させられてしまうことがほとんどだが、「民事再生」では現経営陣が残り、同じ経営者の主導のもとで会社の再建に取り組める。
 メリットその②
再建までの期間が会社更生に比べ短く、取引先との関係が大きな変化が生じないうちに債務を極力カットして再建に臨むことができる。
 メリットその③
会社の貸借対照表が債務超過ではない場合でも、会社の運営状況から考えて近い将来確実に債務超過に陥り、支払不能による支払停止が免れない状況が発生しかねない場合、法律用語では「破産の原因たる事実の生ずるおそれがあるとき」または「債務者が事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないとき」は民事再生を申し立てることができ、経営環境がどん底に陥る前に法的な救済を受け、再建を早期に目指すことができる。

などです。このようなメリットがあるために、主に取引先が複雑でない利害関係者が少ない中小企業がこの民事再生による会社の債務整理に向いているといえます。

…と、ここまでは会社の民事再生のいいことだけを解説しましたが、実はあまり語られない大きなデメリットも存在し、このデメリットのために民事再生中の中小企業の結構な割合の会社は民事再生による会社再建の道をあきらめ、破産・清算を選択せざるを得ない状況になるようです。

会社の民事再生のデメリット

 デメリットその①
会社の民事再生の場合、担保に取られている不動産や資産等を債権者が自由に処分できてしまうので、会社を民事再生で再生させることができるかどうかは債権者が会社の再建に十分の理解を示してくれる場合に限られます。実情としては、中小企業の取引先(=債権者)の同意が得られることは、ほとんど無いようです。(具体的には債権者の過半数の同意がなければ不可)
 デメリットその②
裁判所に会社の民事再生を申し立てる際に、少なくとも200万円、負債が多所に多額にある場合は1000万円以上の「予納金」を納めなければなりません。この予納金は裁判所が選任する監督委員(弁護士限定)と債務者・会社の調査を担当する公認会計士の支払報酬として確保するために納付します。多くの一般的規模の中小企業の債務総額を考えると、おおむね200万円~500万円内外の予納金が必要と考えられます。
 デメリットその③
実際に会社が民事再生を申請してしまうと、銀行以外の一般債務者に債権カットの処理がなされてしまうため、狭い地域では噂が広がってしまいその後の取引を拒否されてしまう可能性が高い。また、銀行取引も制限されてしまうため、そもそも現金が手元にない状態に陥るために再建を断念せざるを得ないという結末が多い。(中小企業の場合。大企業の場合は別)
 デメリットその④
会社の民事再生を裁判所に申請してから受理され、法的な手続きが完了するまで最低でも半年程度はかかります。その間はもちろん銀行や信用金庫・信用組合等からの追加融資はあてにできず、資金繰りの目途が立たない上に、税金の支払いは待ったなしに訪れ、さらに個人資産は持って行かれてしまうなど、資金的なやりくりができない状態に追い込まれてしまうことも多く、その整理にかかる期間的な長さが理由で会社の民事再生の申し立てを断念せざるを得ないケースが多い。

このように、会社の民事再生は一見債務整理の切り札のようなイメージがありますが、実際のところそれに付随するデメリットも多く、メリットとデメリットを十分に比較検討したうえで申し立てるかどうか検討しなければ後で思わぬ状況に四苦八苦する羽目になってしまいかねません。十分に気を付けてください。

ただ、債務の整理段階で金融機関等への支払いをストップすることで資金繰りに余裕が生まれ、追加融資を受けなくてもそれ相応のキャッシュフローが回りだすために再建が可能という場合や、担保不動産や担保資産が処分されても特に経営状態には大きな支障なく継続して事業を運営維持できるようなタイプの事業形態の場合は会社の民事再生は事業再建の切り札となる可能性は大いにあります。

会社更生

会社の民事再生法が施行される以前はこの「会社更生」が会社の再建型債務整理の切り札でした。

しかし、たくさんの制約がある上に会社を倒産させてしまった経営陣に経営責任を取らせるために総退陣させることが通例であり、またほとんど0ベースでの再建が原則のために、裁判所が選任した、会社とは無関係の第三者である管財人以外が業務再建にかかわることができないため中小企業の経営者が申請に踏み切るのは心情的に非常に難しく、よって主に経営陣が総退陣した後もかかわっている取引先や従業員が非常に多く複雑であり、再建を目指すことで雇用・営業面で社会的に有意義な影響が出そうな規模の大企業がこの会社更生を選択する場合が多いです。

中小企業がこの会社更生による債務整理を選択することはまずないため、詳細は割愛させていただきます。

会社の特別清算・破産

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会社の特別清算は「会社法」によって規定されており、会社の存続が不能となり、解散する手続きを取った際にその後処理としての法的後始末といった感じですが、主に債務超過の疑いがある場合や清算作業に著しい困難性が予想される場合で、いろいろと債権者と債務者の間でゴタゴタが起きそうな場合に、裁判所の監督のもと、清算手続きを行う場合のことをいいます。

また、会社の特別清算は清算中の株式会社のみ適用可能であり、個人および株式会社以外の合同・合資会社・各種法人は特別清算の対象とはなりません。

一方、会社の破産は「破産法」に基づくものであり、破産自体は法人(株式会社以外も)はもちろん、個人にも適用可能です。会社の破産は、イメージでは特別清算を適用する場合よりも会社の内容がよろしくなく、過大な債務超過などがあり倒産した場合などに適用されます。

会社の特別清算と破産の一番大きな違いは、「債権者の同意が必要かどうか」という点になります。

また、特別清算と破産はどちらを適用したとしても大きな違いがないように感じてしまうこともあると思いますが、清算にはまだ会社が債権者に対して分配する価値のあるものを残しているイメージが強く、世間の印象がそれほど悪くならないような印象を与えるのに対し、破産は「ないものはない!」と開き直ったイメージで債権者が回収できる見込みがほとんど0に等しいという印象を持たれてしまうことも多いです。

ただ、特別清算は最低でも債権者の3分の2以上の同意を得る必要がありますが、破産に関しては債権者の同意は基本的に必要としません。

中小企業の場合、大口の債権者には通常銀行や信用金庫等の金融機関が含まれていることが通例であり、基本的に金融機関は特別清算には同意しないことがほとんどのため、特別清算は事実上ほとんど適用されることはなく、多くは「破産」として処理されています。

また、ここまで解説してきて大変心苦しいのですが、中小企業の場合、そのかなりの部分が結局「破産手続き」によって処理されているという実情があります。

会社分割という裏技とリスク

倒産寸前の会社の資産や優良部門(利益が出ている部門)を新しく設立した会社に移転し、元の会社の債務整理を行う際に会社が債権者に支払うべきものを新会社に残して債務返済を逃れようという事例がかなり発生し、裁判沙汰になったケースがあります。

結論から言いますと、これはNGです。やってはダメなものに相当します。

ネットで調べているとこのようなグレーなテクニックをあたかも合法であり、救済の要のように解説しているサイトもまだ結構見ることができますが、くれぐれもそのようなサイトにそそのかされて詐欺的な行為に手を染めないように用心してください。

会社の代表取締役が債務の連帯保証人になっている場合や担保を取られている場合

中小企業が銀行や信用金庫から融資を受けている場合、多くは銀行のプロパー融資(銀行本体の裁量で融資実行するケース)ではなく信用保証協会の保証付き融資または担保を提供しての融資の形態になっていることと思います。

また、担保提供は通常会社(法人)の代表者または親族あるいは親しい知り合いという場合が多く、さらに一般的には会社の代表者が債務(融資)の連帯保証人にされていることがほとんどかと思います。

担保として取られるものの多くは代表者の自宅不動産あるいは所有不動産(会社の建物・土地等)なので、不幸にして会社が倒産・破産に追い込まれた場合はそれらの債務を回収すべく担保不動産の売却(競売)や残債の回収のために不足分は連帯保証人に対して一括返済を求めてくることが通例です。

会社が破産状態に追い込まれた場合は往々にして代表者は会社を破産させないために八方手を尽くしていることが多いため、最終的に会社の破産と同時に代表者も連鎖的に自己破産しなければならないことがほとんどですが、問題は一旦会社の整理を決心した際に自分が自己破産してしまうと、銀行等の手によって自宅が処分されて住む家がなくなってしまうという不安と、もう一つは自分が自己破産してしまうと次の連帯保証人が全ての債務を背負ってしまうために非常に気まずいし、恨まれてしまうという恐れが生じます。

ですので、基本は他者の連帯保証は絶対に付けないことですが、これを取られている場合は非常に厳しいです。金融機関も慈善団体ではありませんから、回収が見込める場合は回収可能先である連帯保証人に確実に返済を迫っていくでしょう。この際も、ことを投げやりにせず、当サイトでおすすめしている弁護士事務所等にできるだけ早めに相談してください。

会社が倒産しても自宅を残す方法 |自宅を残せる可能性がある個人再生や、自己破産前に任意売却も検討してみる

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会社の倒産・破産に伴い、自宅不動産を手放さなければならない危機に面してしまいますが、できれば住み慣れた我が家を手放さずに、どういう形であっても今まで通り暮らしたいというのは人情です。

ただ、自己破産してしまうと全て競売によって売却され、少額管財手続にのっとって債権者に分配されてしまうために、どうしても自宅を残すことにこだわる場合は法律の専門家である弁護士に事前に相談の上、金融機関等と交渉して任意売却し、売却先からバックリースで自己破産後に賃貸契約を結んだり、長期分割で買い取ることができるように事前に交渉できる売却先を探しておく必要があります。その際、売却価格が実勢に見合った価格帯でなければ金融機関の承認を得られないので、そのあたりも含めて交渉がスムースに行えるように、売却相手はできれば現在の状況に理解があり、協力してくれる近しい身内や親しい友人で探すことが多いようです。

また、いろいろ検討してみたがどうも自宅を残すのは無理だ、という場合、気休めではありますが自己破産後は住宅ローンの残債も免除されます。

逆に、なんとしてもそこに留まりたい!という場合は個人再生の申請が適していますが、一定の条件を満たしていないと法的に自宅を守ってもらえないため、やはりできるだけ早めに当サイトが推奨する個人再生に強い弁護士等に相談してください。

妻名義の財産・資産・預貯金等はどうなるのか

会社の倒産はもとより、会社の代表者が会社の倒産・破産等によって連鎖的に自己破産や個人再生に至った場合でも、代表者の妻が会社や代表者の連帯保証人になっていなければ妻名義の財産には全く何の影響も及びません。それらの責任の所在はたとえ夫婦や兄弟・親子であっても厳格に分けられています。

ですので、もし妻の預金等を会社の存続のために焦ってあてがったりしないように、困難とは思いますが十分に冷静な視点での早め早めの検討をしていただきたいところです。

【目から鱗トピック】会社の債務がおおむね金融機関からの信用保証協会の保証付き融資のみで、金銭に変えられる資産や自宅不動産等を所有していない場合

中小企業が現在銀行や信用金庫等の金融機関から融資を受けようとした場合、そのほとんどが「プロパー融資」ではなく「信用保証協会の保証付き融資」だと思います。

この融資を受ける際、審査は信用保証協会が行い、会社(法人)の業績に伴ってリスク判定し、融資の決裁を下すかどうか、決裁した場合にどのくらいの保証料を徴収するかを前もって決めています。

融資が実行された場合、契約にのっとって融資実行する口座に保証料や手数料等を引いた残りが会社の口座に振り込まれることになります。つまり、いざ会社が倒産の危機に陥り、返済が滞ってしまった際にはこの保証料が効いてきますので、一定期間返済をストップすると銀行に対して信用保証協会の方から債務者の肩代わりとして全額が支払われるシステムとなっています。

これを「信用保証協会が銀行に対して代位弁済する」といいます。

信用保証協会が代位弁済により債務者の残債を一括で完済しますと、今度は信用保証協会が債務者に対しての債権者になりますが、多くの方はこれをとても怖がります。

また、このページをご覧になられていらっしゃる方の中には、銀行等の金融機関からの融資が主な心配の種で、そのほかの取引先に関しては特に心配しておらず、銀行の融資に対するやりくりが何とかなれば問題が解決するという状況の方も多いかもしれません。

ですので、中小企業の融資の多くに該当する「信用保証協会の保証付き融資」が返済困難になりそうな場合や、払えなくなってどん底刊に苦しんでいらっしゃる方へ向けての【リスケジュール完全解説|銀行融資は怖くない!冷静にリスケを申し込もう】と【信用保証協会付き融資が代位弁済されてしまったら】をご覧ください。